しこつ湖自然体験クラブとは
 

設立趣意書 トゥレップ命名によせて


みつける・感じる・よみがえる

しこつ湖自然体験クラブ「トゥレップ」

設立趣意書
 

私たちの願い

21世紀は「環境の世紀」にすべきであると言われています。たしかに地球規模で進行する自然環境破壊の実情について認識する人々は増えつつあるとは言え、私たちの暮らす身近な自然すら充分に保全されていないこともまた事実です。

 

 

 

私たち21世紀を生きるすべての人類は、この自然を守り、豊かな自然を次の世代に引き継ぐために自然保護の思想をさらに広げ、持続的に発展が可能な社会を創っていかねばなりません。そのために、まずは自然の中で過ごす楽しさ、気持ち良さを体験してほしい。より多くの人々に自然の美しさ、脆さ、そして尊さを、本物の体験を通じて感じ取ってほしい。支笏湖を中心とするこの自然の中に何度も足を運び、自然と調和した暮らしをさらに深く考えてほしい。そして「守っていきたい」と考え行動する人たちを一人でも多く増やしたい・・・・というのが、私たちの願いです。

市民として、このフィールド

現在、支笏湖周辺地域を訪れる方々に自然案内や観察の手引きをする組織は、すでにいくつかありますが、十分とは言えない現状と思われます。今後、さらに多様な活動プログラムをもとに特徴ある活動をする組織が増えれば、より多くの、より多様な人々にこの地域の自然の素晴らしさを紹介でき、体験していただけることになります。

 

 

 

また、この地域に暮らす市民が中心になり、組織を運営することは、暮らしに根ざした自然の見つめ方が継続的にできるため、自然情報が蓄積でき、きめ細かく意義深い解説や案内ができることにつながります。そこで日本自然保護協会、北海道自然保護協会の自然観察指導員として、「自然観察会」を主催してきたメンバーが、志を同じくする他の分野の市民・専門家と連携し、市民団体を組織することにしました。独自性を持って、幅広く活発な活動にすべく、私たちはここに「しこつ湖自然体験クラブ」を創設します。将来的にはNPO法人化を視野に入れ、いっそう努力を重ねて参りたいと考えます。

私たちの4つの活動方針

    私たち、「しこつ湖自然体験クラブ」は・・・ 

○自然保護思想の啓蒙活動を行う

○しなやかな体と豊かな感性を育む活動
      を提供する

○目的達成型体験活動を提供する

○地元の活性化に貢献する

この4つを活動方針とし、支笏湖をシンボルとするこの地域の自然と共に生きることに誇りを持って活動します。

 

 

 

「トゥレップ」命名によせて
 

 アイヌ語名で「オオウバユリ(大姥百合)」の意です。北海道各地の天然林に自生しています。ここ支笏湖周辺の森林にも、まだ、かなりのトゥレップが生えており、場所によっては見事な群落をつくっています。
   先住民族アイヌにとって、トゥレップは
非常に重要な植物です。ユリ科ですので鱗茎(りんけい=ユリ根)を掘り出して重要な食料とします。つぶして発酵させ、でんぷんを分離して薬として使ったり、でんぷんが含まれた繊維質の部分を乾燥させて保存食とします。これらは7月の重要な作業です。支笏湖から流れ下る千歳川の流域には、縄文の昔から擦文、アイヌ期、現代と脈々と続くひとの暮らしがあります。その集落をかつて支えていた豊かな自然の象徴として、サケやクマとならび、トゥレップなどの植物をあげることができます。
    早春はつやつやした芽生えが心を躍らせ、6月に林床が暗くなる頃、1.5メートル程にも成長して、7月にラッパ状の花を数個から20個ほど咲かせます。大きな花ですが白っぽいクリーム色ですので、薄暗い林の中で人間の目にはさほど目立たないのですが、きっと虫の目にはくっきり映っていることでしょう。
花が終わると俵の形の実をつけて、中には薄い透明
な膜をもった種ができます。風に乗って遠くへ飛ぼうという戦略です。秋が深まった頃、枯れた茎を左右に振るとこの種がたくさん飛ぶのを観察できます。冬、あたりが真っ白な雪景色に変わっても、背の高いトゥレップの枯れた茎は雪の中からすくっと立っていてよく目立ちます。 
   さて、このトゥレップの花ですが、10年に一度咲
くとその株は一生を終えると言われています。
10年
間、葉だけの姿で鱗茎にでんぷんを少しずつ蓄え、一気に花を咲かせるのです。辛抱強く、北国の春の陽をわずかずつ受け止めてゆっくりと時を待つのです。
「トゥレップ」の意味は「溶けさ
せる・もの」(知里真志保による辞典)です。花を咲かせる時には、すべての養分を花に集中するのか、葉も溶けるように枯れてしまいます。日本の名前で姥(うば)とついているのも、こんな様子からでしょう。

 

自然に「とけこむ」・・・。その瞬間の心地よさを私たちは知っています。目に付かない森の土の下に、ひっそりと、しかし重要なものがあることを、私たちは忘れずにいたいと思います。
私たちと一緒に支笏湖やその周辺の自
然を体感する皆さんの心が、自然の中にとけこみ、また私たちみんなの気持ちが解け合って、自然を大切にする社会ができていくことを願って、「しこつ湖自然体 験クラブ」の愛称を「トゥレップ」から頂きました。

(中原直彦 記、20037月5日)